August 16, 2006

日本の戦争責任について(富野アニメに基づく国家の意思決定モデリングの試み)

靖国神社の参拝に関する議論を見ていて思うのですが、A級戦犯の問題にせよ、神社の参拝の問題にせよ、アジア各国からの批判にしろ、いろいろな議論が噛みあわないのは、そもそも「日本がなぜ戦争をおこしたのか」「誰が主導して戦争起こしたのか」という本質的な問題を、日本人自身が避けているからではないでしょうか?

私は、日本人は、戦後60年以上、この本質的な問題から逃げてきたと思います。

しかし、アジア各国やアメリカの被害者はもとより、いやいや戦地に行かざるを得なかった日本兵や、空爆などでなくなった多くの被害者のためにも、いよいよ、真面目に考える時期がきたと思います。そうでなくては、戦没者が浮かばれないでしょう。

まず、日本人が自分で考える以上、「日本」と一言で行ってはいけないと思います。

具体的には、誰が(もしくはどの勢力が)、日本を戦争に引きずり込んだ(主導したのか)?
個人名もしくは組織名で、その役割の大きさを明確にすべきだと思います。

組織の意思決定は、常に様々な思惑がからみます。
当時も、日本を戦争に導くことで、明らかに、自分が得をすると考えた人(もしくは組織)がいたはずです。
(日本人のなかにも、海外の国のなかにも)

もし、誰も戦争には積極的ではなかったとしたら、特定の個人の問題ではなく、組織の意思決定の問題となります。

その場合、日本の組織の意思決定のあり方に問題があったということになるでしょう。

それであれば、この問題は過去の問題だけではなく、現在も続いている問題かもしれません(現在の政治や、企業など)。

さて、この問題をこれからは追求していきたいと思うのですが、いろいろ微妙な問題をはらむので、以下の手順で検討しようと思います。

1.ガンダムを中心とする富野アニメをベースに、国家を戦争に導くにあたり、どのような勢力が登場するかを概観する。(関係ありませんが、私のガンダムのページはこちら

2.日本が戦争に至る過程を分析した本を、片っ端からできるだけ多数読み、そこでは、誰が(もしくはどの勢力が)問題とされているかを分析する。

3.1ででてきた勢力と、2ででてきた勢力を照らし合わせることで、見落としがないようにする。

なんでわざわざ富野アニメを使うかというと、私は、偏見かもしれませんが、学者や識者が、あまり立派な分析をこのジャンルで成し終えているとは思っていないので、見落としのないように考察するためのツールとして利用したいと考えています。

あとは、ガンダムのイメージを活用することで、当時の個人名に詳しくない人にもイメージがわくようにできたらという意味もあります。

富野アニメといってもいろいろあり、知名度を考えるとガンダムをベースにしたいのですが、どうもガンダムというのは、国家を分析するツールとしては、若干弱いところがあるので、とりあえず頭に浮かぶ富野アニメをいろいろ用いながら、最終的には知名度を考えてガンダムベースに統一できたらなと思います。

さて、国家の構成要素はどんな人がいるでしょうか?

順不同で考えると・・
・一般の人Aタイプ:
つまり、国家の意思決定に一般資格でしか関与できず、戦争などが起きると、なすすべもなく被害者になる人々。
この人たちは、戦争を憎み、いざという時には逃げることしかできない。
富野アニメでいうと、ザンボット3に出てくる一般人が印象的です。最悪の例では、人間爆弾の被害者となる人々アキなどがいます。
現実にはどの戦争でも多数派のひとつでしょう。

・一般の人Bタイプ:
国家の意思決定に一般資格でしか関与できない点はAタイプと同じだが、ナショナリズム意識が強く、戦争に賛成する人々。ジオン公国独立宣言を支えた人々はこのような人たちでしょう。おそらく、経済的事情から不公平意識を持っている。
アメリカ独立戦争を支えた人たちもこういう人たちかもしれない。これも結構多数派か。

・一般の人Cタイプ(=軍人):
一般人だが、いざとなると、戦争に借り出される人々。アムロをはじめ、富野アニメにおける多くの作品での主人公はこれに属します。脇役では、ガンダムにおけるアバオアクーの攻防の学徒出陣の兵士などが思い起こされます。

・一般の人Dタイプ:
一般人だが、生きるために戦争や軍人に協力しようとする人々。ガンダムのミハルなど。

・一般の人Eタイプ:
一般人だが、主義のために戦争や軍人に協力しようとする人々。イラクの自爆テロなどはこういう人かもしれない。

・軍人A:職業軍人:
戦いが好きなタイプ。富野アニメではどの作品にもいろいろ登場。

・軍人B:戦争が好きだが、それを利用して権力を目指すタイプ。Vガンダムのタシロみたいなものか。部下を戦わせるタイプ。自分は安全な場所にいて権力や名声が好き。ザンボット3のブッチャーみたいなものか。

軍人C:主義に生きる人。Zガンダムのエマ・シーンみたいなものか。

軍人D:エリート意識に基づく戦争好き。Zガンダムのティターンズみたいなものか。

軍人E:いやいや戦わせられているタイプ。本当は戦争などしたくない。

軍人F:遠大な将来ヴィジョンに基づいて戦争を考えている人。Zガンダムのシロッコみたいなイメージ。

政治家A:高潔な指導者。多少は個人的な欲望もあるが、基本的に全体のことを考えている人。ターンエーガンダムのディアなタイプ。イデオンのドバ総統なんかも一応そうか。

政治家B:欲のある指導者。プライド高く、自分がトップであることが大事。周囲は道具。ガンダムのギレン・ザビみたいなものか。

政治家c:国家のことより自分の保身が最優先の指導者。

政治家D:国家の拡張を優先している指導者。

政治家E:国家の問題といいながら、実は自分の個人的な感情のために戦争を利用している指導者。イデオンのハルルや、逆襲のシャアのシャア・アズナブルなど。

一番偉い人:イデオンでいうズオー大帝(だっけ?)。要するに昭和天皇のイメージなのです。実権はよくわかりませんが、一番偉い人のことです。

反政府活動家A:理想主義者であり、国家意識をこえ、社会改革を夢見て政府と敵対する人。これはガンダムのジオン・レム・ダイクンそのもの。

商業家A:戦争を積極的に利用して利益を得ようとする人々。ガンダムのアナハイム社みたいなものか。いや、F91の家の方が適当か。

商業家B:戦争のなかで中立的になんとか商売を続けようとする人々。ターンエーの・・名前をどわすれ。

技術屋A:技術研究好き。アムロの父みたいなタイプか。

官僚A:国家の意思決定を担いながら、国家の未来を考えている人。

官僚B:国家の意思決定を担いながら、自分のことを考えている人。

マスコミA:真実を追究しようとする人々。

マスコミB:思想統制の一翼を担う人々。

学者A:いろいろコメントする人。いろいろ出てくる。

うーん、いろいろ書いていて、なんか収拾つかなくなりそうな気がしてきました。書いていて、途中から富野アニメのキャラ名もかなり忘れていることにも気づきました・・

もうちょっと、よく考える必要があるかもしれませんね。とりあえず、この手法で何かしら意味がありそうかどうか、何か1冊サンプルに使って実験して考えてみます。

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July 08, 2006

北朝鮮のミサイル発射について

【平壌7日共同】北朝鮮の宋日昊(ソンイルホ)日朝国交正常化交渉担当大使は7日午前(日本時間同)、平壌で共同通信など日本メディアなどと会見し、5日の弾道ミサイル発射に対する日本政府の制裁発動について「言語道断だ。後に破局的結果を招きかねない」と強く反発し「もっと強い別の対応をせざるを得ない」と述べ、対抗措置を警告した。一方で、発射は「日朝平壌宣言に違反しない」と述べた。
 大使は「今日の日朝関係は最悪の状態を超え、対決局面に入ったといえる。米朝関係より悪化している」との厳しい認識を表明。6日の外務省報道官談話にある「ほかの形態のより強硬な物理的行動措置」は日本を念頭に置いたものだとしたが、「今後、日本の対応を注視する」とも述べ、含みを持たせた。

これに対し、日本政府は、経済制裁を主張。

 日本は同日午後、安保理理事国に対し、制裁も視野に入れた北朝鮮非難決議案の具体的内容を提示する。

 安保理協議で、米国や英国は日本の立場に賛意を示した。しかし、中国とロシアは「1998年の北朝鮮のミサイル発射の際は、安保理は『プレス声明』を発表している。今回は一段階高い『議長声明』で対応すべきだ」と述べ、決議案に反対する姿勢を明確にした。

(読売新聞) - 7月6日1時55分更新

ようするに、北朝鮮に対し、日米は断固とした対応を主張。ただし、ロシア、中国の反対もあり、たいした制裁にはならなそうです。

 北朝鮮制裁についてはプーチン大統領が6日、反対する姿勢を表明、北朝鮮の核をめぐる6カ国協議の再開を呼びかけた。ロシアが安易に制裁決議に賛成すれば、北朝鮮を反ロシアへと追いやりかねない。それだけは避けたいというのがロシアの本音だ。
 ただ、ロシアの専門家たちは、今回のミサイル発射について、「人口希薄な極東での話で、問題としてはまだ小さい。ロシアの人口の約8割が集中する欧州部だったら、こうはいかないだろう」とみる。

中国、ロシアにとって北朝鮮は対米カードでもあり、何よりも自国に被害が及ぶ可能性がないため、真剣に捉える必要がないのでしょう。

 日米英仏などは7日、北朝鮮のミサイル発射を非難し、北朝鮮との間でのミサイル関連物資、技術、資金などの移転を禁止する制裁決議案を国連安保理に正式提案した。日米などは当初8日の採決を求めたが、一部理事国が週末の採決を避けるよう要請したため、採決は10日以降に先延ばしされた。

(毎日新聞) - 7月8日12時39分更新
上記内容からみるに、国連で制裁が可決されても、たいした内容にはならなそうです。
<北朝鮮の狙いは?>
北朝鮮外務省は6月1日に談話を発表し、6カ国協議の米首席代表ヒル国務次官補の訪朝を招請。その際、米国が圧力強化を続ければ「超強硬措置」を取るとまで警告したが、米政府は招請を拒否した。

 北朝鮮は、金融制裁解除や米朝対話再開の見通しがまったく立たない上、日米などがむしろ圧力強化の動きを見せ始めたことから、「実力行使によって形勢逆転を狙う賭けに出た」(韓国の北朝鮮専門家)といえそうだ。


 しかし、拉致問題で行き詰まった対日関係の打開もにらんだと思われる今回のミサイル発射は、発射凍結延長を盛り込んだ日朝平壌宣言や、朝鮮半島の平和体制構築をうたった6カ国協議共同宣言に違反する。北朝鮮にとっては、国際的「完全孤立」化を招きかねない危険な賭けでもある。

 韓国サイドでは「テポドン2号の発射準備の動きに対し、日米が『これまでの瀬戸際外交の一環』と見切ってきたことに北朝鮮指導部が反発、国際社会にミサイル開発能力をアピールする狙いがある」(政府筋)と推察。さらに、南北融和を進める韓国政府に対し「同胞につくのか、日米につくのか、との踏み絵を迫ったもの」(同)とも見ている。

 =2006/07/06付 西日本新聞朝刊=
北朝鮮も、いよいよ切羽詰った状況になっており、ミサイルをうつことで日本をあわてさせ、アメリカと交渉を再開しようというところのようです。
さて、北朝鮮の内部でどのような事態が起きているのかは不明ですが、どのように対応するべきでしょうか?

私が思うに、今回のミサイル発射がどうとか、経済制裁をするしないに関わらず、最終的に北朝鮮との関係をどうもっていきたいのかという所だと思います。

考える前提として、以下の2点があると思います。

①日本は、何かあった場合、自国を守る能力は現在ない。

・ミサイルはもちろんですが、その気になればミサイルもいらないでしょう。某エネルギー産業の方と以前飲んだとき、言っていたのは「北朝鮮はミサイル撃つ必要もない。工作員だけいれば簡単に・・・」

②北朝鮮は、軍部の権力が強い独裁国家である。

・軍事独裁国家というものは、過去様々なモデルがあります。ナチスにしろ、日本にしろ、イラクにしろ、共通点は、必ずしも論理的な行動はとらないということであり、自分で自分達の組織を制御できなくなる可能性があるということです。つまり、独裁国家は内部的に問題が発生すると、どんな暴発もありえます。

さて、ここで、独裁軍事国家をどうにかしたい場合、どういう方法があるか考えてみましょう。

A.外部圧力をかける

これは、アメリカが最も得意とするパターンです。

まず、経済制裁を行い、身動きできないようにして弱体化させ、相手の暴発を待ち、そこで国際的な支持をとりつけて、相手を軍事的に制圧します。

ただし、この場合、近隣諸国は、場合によっては壊滅的なダメージを受けることになります。アメリカは、被害はありませんし、むしろ復興に協力することで、経済的・政治的に発展します。

アメリカは、自国に直接被害が及びそうな場合は、この戦略はとりません。(米ソ対立など)

過去、日本に対しても、イラクに対しても行い、とりあえずは成功しました。

B.内部からの変革を促す

これは、成功パターンとしては、ソ連からロシアへの変化のイメージです。

リスクとしては、変革の過程では、やはり軍部の暴走などの可能性もありうると思います。

また、本質的な欠点としては、時間がかかるし、先行きが不透明な点でしょうか?

ただし、外圧による変革よりは、直接的な損害は、お互い少ないでしょう。

アメリカも、相手が暴発すると自国に被害が発生しそうなケース(ソ連)では、こうするしかありませんでした。

<現状の日本の政策>

日本は、アメリカと共同戦線をはり、北朝鮮に経済制裁を加えることで対処を強化しようとしています。

これは、先ほどのAパターンにあたり、アメリカが、日本やイラクに対して用いてきた得意の手段です。

経済制裁の終着点の最大のリスクは、北朝鮮の暴発の可能性です。とくに、心配されるのは、経済制裁が起因となって北朝鮮内部に異変(軍事クーデター含む)が起きたさいの暴走です。

テポドン2号の射程距離からいって、アメリカはダメージをうける可能性はありませんが、日本はどういう被害でも受ける可能性があります。

アメリカが先手をとって攻撃する可能性もなくはないですが、中国、ロシアなどが強く経済制裁に反発している点、また、石油がらみの利権などもない点を考えると、すぐにアメリカがそこまでやる可能性は少ないと思います。

やはり、日本への直接攻撃が始まってから、アメリカは動くのではないでしょうか?その場合、事態の終息までに日本はかなりの被害を受けることになるでしょう。

<私の意見>

アメリカがAパターンを選ぶのは、アメリカの政治のやり方の常道として、理解できます。アメリカには、北朝鮮に経済的圧力をかけるのも、それによって暴発を呼ぶことも、アメリカには全くリスクはないのです。

ただし、日本がそれにのるのはどうでしょうか?

北朝鮮が暴走した場合、直接被害を受ける国は、世界の中でも日本だけでしょう。

そこまでのリスクを覚悟したうえで、日本政府は経済制裁を主張しているのでしょうか?

また、経済制裁に、どのような効果を見込んでおり、最終的にどのように北朝鮮との関係を持っていくのか、具体的なイメージがあるのでしょうか?

拉致被害者への対応を見ていても、経済制裁のようなやり方ではこれ以上進展が見られないのは明らかです。

経済制裁で疲弊させて、暴発を待つ(?)ような、アメリカがかつて日本にとったような手法ではなく、アメリカがソ連にとったやり方をこそモデルとし、周囲の国々と協力しながら対処すべきではないでしょうか?

そもそも韓国の対北アプローチは、経済制裁などの圧力で解決を図る日本とは正反対で、「北を刺激することなく経済支援をてこに解決を目指す」(統一省)というものだ。同省幹部は「南北分断、休戦中という特殊な経緯や現実があり、日本と異なるアプローチをするのは当然。韓国としては、今回の再会が突破口となって拉致問題全体の解決につながっていくと考えている」と強調する。

 国営テレビKBSは、記者会見で金さんが北朝鮮による拉致を否定したことをめぐり「韓国政府内には、北の体面を傷つけずに拉致問題の現実的解決を図るため金さんの主張に反論するのは望ましくない、との雰囲気がある」と伝えた。

 北朝鮮の思惑通り、金さんと家族の再会を契機に、韓国は日本との距離をさらに広げようとしている。
=2006/07/01付 西日本新聞朝刊=

ようするに、多少時間はかかるでしょうし、先行き不透明ではあると思いますが、アメリカと一緒に経済制裁を主張していくよりも、近隣諸国と協調し、いろいろあっても、交流を深めることを第一義にしていくべきだと思います。

具体的には、ある意味、今回ミサイルをうった北朝鮮の思惑にそのままのっかり、米朝交渉の橋渡しになるということです。

ロシアや中国が北朝鮮をカードとして使うように、日本にとっては米国との関係が、北朝鮮に対する最大のカードでしょう。

冒頭に引用したように、なぜ、北朝鮮が米国よりも日本に怒りを示しているかというと、日本があせって米国に話をつなげることを期待していたからでしょう。

北朝鮮の思惑にそのまま乗らないことも大事ですが、かといって、このままつっぱねることが、日本にとっても有益とは思えません。

北朝鮮もくるところまできている気がしますし、双方のためにならないでしょう。

今のように、日本が自国のプライド(といっても、いざとなればアメリカ頼み)と、楽観的な予測(最悪のケースは考えない)と、近隣諸国との関係を無視した対応を優先しているのを見ると、日本も第二次大戦前からあまり変わってないなーと思わざるをえません。

以前から何度か話題にしていますが、日本がかつて戦争に踏み込んだ時の経緯を、できるだけ主観を排除して整理し、今後の日本の組織運営(政府と企業)にとって役立つようにまとめるページを作ろうと思います。

8月15日を目標に・・・

(産経新聞) - 7月8日3時8分更新

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