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October 07, 2006

ヤマト、ガンダム、宮崎アニメ、エヴァンゲリオン、ゲド戦記における人種問題1

以前から考えていたテーマとして、日本のアニメの人種問題があります。

とりあえず、宇宙戦艦ヤマト、機動戦士ガンダム、宮崎アニメ、エヴァンゲリオン、ゲド戦記といったところを辿っていきます。

なぜ、この諸作品を選ぶかというと、世に与えた影響も大きいし、また、その人種問題への関わりもそれぞれ特徴的だからです。

また、製作者が様々なに絡み合っている点も興味のひとつです。

以下、いつもなら各監督の発言やその出所を明示しながら書くところですが、苦労して書いた挙句に最近のように著作権問題でつつかれるのも面倒なだけなので、発言は特に明示せず、主旨だけ書きます。

まず、宇宙戦艦ヤマトです。

私は、以前、このブログで、宇宙戦艦ヤマトの人員構成(全員日本人・・)を例に引きながら、アメリカ産のスタートレックと比較して書いたことがあります。(参考:宇宙戦艦ヤマト復活について

敗戦コンプレックスをそのまま出したヤマト(日本人vs白人。大和の復活など)と、第二次大戦の勝者も敗者も、冷戦時代の敵対者も含めて皆で一致団結する未来を描いたスタートレック(白人のほか、日系人、黒人女性、ロシア系など敢えて意図的に主要メンバーとした)を比較したものでした。

また、このような作品をあの時代に生み出したロデンベリー(彼は、何と結婚式はわざわざ日本にやってきて神式で行なった!!)の卓見と、アメリカへの恨みつらみをアニメで表現した西崎氏(たしか親が海軍士官)とを比較したものでした。

要するに、いつまでも敗戦コンプレックスを持ち、日本人で固めて大和を復活させ、敵と破壊戦争を行なうという完全懲悪の物語しか作れなかった日本のアニメと、世界一致で(宇宙人も一人、強烈なバルカン人がいたか・・)問題解決に当たらせ、人種問題、思想問題など様々な社会問題を比喩的に描いたスタートレックを比較し、日本のアニメのレベルについて嘆いたものでした。

しかし、しばらく後で、どうも自分のこの認識は間違っていたことに気づきました。

西崎氏がヤマトを軍国調にもっていったという非難は、実は松本零士氏の発言をそのまま信用したものだったのですが、西崎氏の作った初期プロットを見る限り、実は、宇宙船の乗組員は世界各国の当番制であり、たまたまこの年が日本人当番だったのでした。

また、スターシャやテレサに該当する女性はいません。(企画書は、宇宙戦艦ヤマトとさらば宇宙戦艦ヤマトをあわせたような内容です)

また、船も、旧日本海軍の戦艦大和とは無関係です。ただ単に日本人が当番のときの船だったからヤマトと名づけたように読みとれます。

設定的には、世界各国から乗り組み員を集めるプランを持っていた西崎氏と、軍国ものにするのに反対だった松本氏のアイデアが組み合わさる過程で、どうして全員日本人の乗組員で、旧日本軍海軍の大和に乗るという設定になったのでしょうか?

ちょっとわかりませんが、テレビ局の意向なのか、他の誰かの意向なのか、議論の結果なのか・・

ともかく、

・西崎氏の持っていたアイデア:世界各国の乗組員の中で、たまたま日本が当番だった。船も旧海軍の大和とは無関係。ただし、音楽やデザインは旧日本海軍調にしたい。

・松本氏の持っていたアイデア:一人、核になる女性で金髪白人系(??)の美女をおきたい。軍国調はイヤだ。

の2つが変な風に合わさり、結果として、

★日本人ばかりのメンバーで旧日本海軍の大和を復活させて侵略者と戦い、悪いのは白人男性(色は青だったり緑だったり)、でも白人美人女性が女神役。

という、なんか日本の敗戦コンプレックスをそのまま出したかのように読みとれる話となったのでした。

ともかく、いろいろな要素が加わった結果として、地球規模の話であっても日本人しか出てこず、美女役だけ白人という、人種問題という観点からするとかなりである話になってしまいました。

以下、次回に続く・・・

(参考)西崎氏の企画および現状については、西崎義展の手記を参照ください。

西崎氏はまだ獄中かもしれません。しかし、西崎氏の果たした役割の大きさを考えると、もっと光が当たるべきではないでしょうか?

富野監督の言葉を見ても、宮崎監督の言葉を見ても、宇宙戦艦ヤマト=西崎氏です。

ヤマト=松本氏になってしまった現状ですが、ちょっと不公平な感じもするので、西崎作品に焦点をあてたページを作ろうかという気もしています。(ヤマトのみならず、YAMATO2520にも焦点をあてたような)

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 yasuakiさんのところで、また興味深いテーマの連載がはじまったようです。 yasuakiの新評論空間(経営、アニメ、ゲーム、旅行): ヤマト、ガンダム、宮崎アニメ、エヴァンゲリオン、ゲド戦記における人種問題1  ... [Read More]

Tracked on October 08, 2006 at 07:25 PM

Comments

ご無沙汰しております。近頃は難しい問題でご苦労されているご様子で、「他人事ではないなぁ」と思いながら拝読しております。
私はヤマト世代なのですが、“ヤマトの軍国調への傾斜は西崎氏のリードが大きい”という世間の言説を、これまで鵜呑みにしてきてしまったので、今回の記事はとても興味深いものでした。「ならば真実はいずこに!」という関心はとても強いです。
しかし復活篇に関しては、かつてのファンの一人として、「ヤマトは静かに眠らせてやってくれよ…」という思いが…。(苦笑)
万が一にもやろうというのならば、当時考えられる最強のスタッフを揃えたという、初代の志を軽んじてほしくはないですね。

Posted by: 囚人022 | October 08, 2006 at 02:57 PM

ヤマトに関してはいろいろ資料を持っていますので少し指摘させていただきますと、まずガミラス=白人というより、ナチスドイツです。これはデスラー→ヒトラー、ドメル→ロンメル、など人名からも明らかです。敵をナチス風にするのは西崎氏の発案でした。
ヤマト乗組員が全員日本人になった経緯は手元の資料にないのでよくわかりませんが、企画段階で多国籍メンバーだったのは確かです。その名残りとして、大食堂で外国人女性とおぼしき乗組員が大勢出るシーンがあります。
なお、ガミラス星人が青い肌になったのはシリーズ中盤からで、シリーズ前半は地球人と同じ肌色でした。敵味方の区別をはっきりしてほしいというTV局の要望だったそうです。
ヤマトが西崎氏個人の作品ということにはちょっと同意できません。大まかな基本設定をもとにストーリープロットを数名の脚本家が作り、そこから西崎氏が美味しい部分を抽出して再構成していますので。松本氏はキャラデザインやイメージイラストなど視覚化を担当していました。「古代進」「森雪」という命名も、松本氏だったように記憶しております。なおSF考証やメカデザインはスタジオぬえ(宮武氏など)が担当していました。
例えばエヴァンゲリオンが庵野氏個人の作品であるということにはほぼ異論がないと思いますが、ヤマトは企画段階から多くの人の手が入っているんですね。しかしこれがヤマト3以降になるとまた話が違ってきて、ほとんど西崎氏の独断専行でフィルムが作られているので、西崎氏の作品といってよいと思います。

Posted by: ヤクザ医師 | October 09, 2006 at 04:29 PM

お二人のコメント、とてもよく理解できます。
囚人022号さんのおっしゃるとおり、「ヤマトは静かに眠らせてやってくれよ…」ですよね。
あのプランどおりに復活編やっても・・。(個人的にはまだ初期プロットとドロドロの人間関係の方が面白そうですが、いや、やはり、もういいかげん、静かに眠らせて欲しいところですね。)
間違ってまたヒット作になってしまったら、その後また延々と作られるのも明らかだし・・

ヤクザ医師さん、貴重なご指摘ありがとうございました。
西崎氏は、やはりプロデューサーなので、いかに人材集めて、方向決められるかが勝負で、基本的にはやはり現場のスタッフの努力が大きいですよね。「海のトリトン」のときの西崎氏の役割は、「もっと音楽を・・」とか、「こんな絵じゃだめだ!」とか、そういうレベルのものだったようですし。

西崎氏主導のヤマト3以降というと、今一歩なイメージが強いところですね。

やはり、いかに、その時代の最強メンバーを集めて、うまく組み合わせられるかが、プロデューサーである西崎氏の貢献ポイントということでしょうか。(富野氏まで一応集めたわけだし・・)

その意味で、西崎氏の力量という意味では個人的に興味あるのはYAMATO2520で、おそらくこれは、脱松本氏と打倒富野氏を同時に狙ったんだと思うんですよね(推測ですが・・)。「宇宙戦艦ヤマト」のときに自ら声をかけた最強スタッフを、自ら倒そうとしたのではないかと。
作中に「モビルスーツ」とかそのまま呼称が出てきますし(ザコとして・・)。
それで打倒富野氏を果たし、シド・ミードのデザインで脱松本氏とアメリカ制覇を同時に目指す・・という感じでしょうか・・

YAMATO2520って、富野氏に監督やらせたら、凄い作品になってたんじゃないかと思うんですけどね・・キャラの設定変更がすごく入って、やはり衝突かもしれませんが(長々と書いたあげく、最後は妄想モードでした)

Posted by: yasuaki | October 09, 2006 at 05:21 PM

初めて書き込みさせていただきます。囚人さんのところから伺いました、ヤマト世代のオッさんです。
ちっと長々と失礼いたします。

竜頭蛇尾に終わった3のことを、今となっては少し残念に思い出します。
当時「また続編か」とかなりバイアスをかけて鑑賞してしまったけど、残った資料を見ると、これはこれでヤマトシリーズの集大成の観があり、それなりの見所も用意されていたようです。結局、打ち切りになってしまったのですが。

さて、ヤマトとST、両シリーズを見て改めて思うのはそれぞれのお国柄と時代性です。

エンタープライズの他民族クルーは、地球というよりモロにアメリカそのものです(ロシア系の移民も革命前からの伝統があります)。シリーズごとに比率の変わるクルーの人種構成は、制作時期のアメリカにおける各人種のステータスを反映してもいるかのようです(保守的な時期になるとサクソン系が船長になったりする「先祖帰り」もあったり)。
そして、現実社会における「敵国」は、クリンゴン、ロミュランといった「異星の帝国」に置き換えられました。つまり、これも「アメリカから見た世界情勢」のスケールアップなのですね。

探索というのは開拓、植民地化の前段階、と見ると、これまた決してロマンだけでは語れない世知辛さが見えてきます。後のTNGなどはまさしく「帝国による統治」を思わせる世界観であったりもします。
実は非常に、アメリカ的な視点の物語なのですね。

余談ですが、実写による苦労、特に資金難に対する回答は、実は転送システムに反映されているのだそうですよ。あれのおかげで、ブリッジと転送室、あと地表のセットだけ用意すればいいことになった、手記(ニモイ氏だったかな?)で読みました。


対するヤマトの愛国調は、実はそれ以前の時代で戦記物が鉄板の人気を誇っていたから、という時代背景もあると思います。零戦大和タイガー戦車のプラモデルが、当時(もうちょっと上の世代「も」だったかも、ですが)の子供と玩具メーカーにとっての「三種の神器」でしたねえ。
ハリウッドの第二次大戦ものも多く封切られ、紫電改のタカやら零戦ハヤトやら戦記マンガは今だ売れ筋。まだまだ「戦後」でした。

敵が「アメリカ」でなく「ナチス」だったのは、遠慮よりはネームバリューでしょう。「かっこいい」悪役として名が売れていた、という訳です。カーチス・ルメイよりもエルヴィン・ロンメルのほうが有名だ、なぜなら田宮のプラモの説明書に載ってるから、そういうことなのでしょう。

世情としてはむしろ今よりも右傾化思潮は警戒されていた訳ですから、当時としては「子供のマンガ」に目くじら立てることもあるまい、という空気だったのではないか、とも考えます。僕も当時は子供ですから想像ですが。

ただまあ、明らかに戦記物ですから、シリーズ化したとたんに破綻するのは避けられない宿命だったのでしょう。この作品にせよガンダムにせよ(乱暴に言えばウルトラやライダーも)、シリーズ化を強いられた後の推移と、第二次大戦での敗戦国の戦局というのは、どこか似通っていて皮肉です。

皮肉にもこの「子供マンガ」が、後の世に与えた影響は大きかったのですけど、ね。

Posted by: バルタザール | October 11, 2006 at 12:06 AM

バルタザールさんは、私より、あきらかに世代が上ですね。面白く読ませていただきました。

ナチスは当時はかっこよかったわけですか・・言われてみれば、わかるような気がします。ロンメルも人気ですが、「独裁」が持つ貴族趣味的な優雅なイメージ(?)もあるかもしれませんね。
デスラーにしろ、後のザビ家にしろ。

「零戦大和タイガー戦車」・・言われてみれば、私の子供の頃も、微妙に名残があったような・・かすかな記憶では、ガンプラ以前は、プラモデルといえば、やはり大和が定番だったような気が・・

零戦ハヤトは残念ながら知りませんが、紫電改のタカは、ちばてつや作品ということもあり、復刻版を読みました。
あれはひどい(かわいそうな)話ですね・・
ラストの主人公の特攻が、後に、あしたのジョーのラストでジョーを殺すかどうかという解釈で、ちば氏の心中における「生きている」という結論へ影響を与えたような与えなかったような・・(この話は長くなるのでやめときますが)


ヤマト3は、たしかにバイアスもありますね。もっとも、あの展開では、バイアスなしで見る方が無理という面もありますが・・

ヤマトのネタは、皆、格別な想いがあるようで、面白いですね。

私のような若輩者には資格はないのですが、ヤマトをもう一度じっくり見直しながら、ホームページでも作ってみようかなーという気もしました。
(作るとしたら、ヤマトに特化すべきか、海のトリトンからYAMATO2520まで含めた西崎氏再評価(過大評価は慎むにしても)のページにするべきか・・)

Posted by: yasuaki | October 12, 2006 at 01:00 AM

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