富野語録名作選第三回「ホワイトベースは何故「宇宙戦艦ヤマト」に勝てるといいきれるのか」
昨日、富野語録名作選の第三回をアップしました。題名は、ホワイト・ベースは何故「宇宙戦艦ヤマト」に勝てるといいきれるのか、です。
テーマの一つは、ホワイトベースと宇宙戦艦ヤマトのどっちが強いかという話を起点に、富野監督のヤマト批判の真意を見ようというものです。
「波動砲さえよければ・・」という富野監督のお言葉は全くその通りですが、それができずにどれほど多くの敵が苦労したことか・・
しかし、いろいろなインタビューを読んでいただければ、ホワイト・ベースは、絶対にヤマトに勝たなくてはならないという信念が見えるかと思います。
さて、今回のようにインタビューを並べてみて思った仮説です。
富野監督は、テレビ版海のトリトンで初の総監督をやったにも関わらず、映画版では、実写畑の舛田監督に位置を譲らざるをえなかった。それをコントロールしていたのが、プロデューサーの西崎氏であり、富野監督の西崎氏不信はそれが大きな原因のひとつである。
なぜかというと、富野監督と高畑監督の対談からの抜粋を見てもらえればわかるように、アニメも映画となると実写系の監督に任せるという当時の風潮に、相当頭にきていたようです。
ついでに、さらに富野監督の心理を深くのぞくと、そこには、本当は自分も実写を撮りたい!という気持ちも見えてくるのですが・・その話はまた別の機会にします。
ともかく、実写系の監督に負けてたまるか!という意識が、商売として実写系監督の知名度を優先した西崎プロデューサーを許せなかったのでしょう。
まあ、西崎氏もあくの強い人のようなので、他にもいろいろ理由はあったのでしょうが。
さて、今回のもうひとつのテーマは、ホワイトベースそのものです。
参考1~3として、安彦氏、松崎氏、大河原氏のホワイトベースにまつわる話ものせてみました。
安彦氏の言う、ヤマトに比べはるかに貧しい環境で作られたいきさつや、松崎氏の言う、ホワイトベースからミノフスキー物理学が誕生した話、さらには、ガンダムで最も最初に作られた(というかダイターン3で登場予定だった)という話は、どれをとっても、ホワイトベースが様々な意味で「機動戦士ガンダム」のまさに『母艦』であることを示しています。
最後に、今回の隠しテーマとして、参考4に取り上げたのが、「Vガンダム」との関係です。
Vガンダムの失敗については、前回も取り上げたものですが、私がひっかかっていたのは、何故バンダイの役員に「戦艦を飛ばせろ!」と命令されたさいに、一気にバイク戦艦まで話がいってしまったかということでした。
なぜなら、戦艦自体は、もともと他にも登場しているでしょうに・・そこでキレなくても・・
しかし、今回ヤマト批判を見ていて、ようやく合点がいきました。
バンダイの役員が言っていた「戦艦」のイメージは、おそらく、「戦艦ヤマト」みたいな意味での戦艦だったのでしょう。おもちゃとしてバンダイがヒットを見込める可能性がありそうな。
だからこそ、富野監督は、もともとヤマトを倒すのが目的で作成し、アニメ史を変えたはずだった「ガンダム」において、結局はおもちゃメーカーの指示でヤマトのマネをしなくてはいけなくなった時、キレたのだと思います。
そして、バイク戦艦を登場させたのでしょう。おそらく、精一杯の反抗として。
そして、そのような「バカなもの(by富野監督)」を出したことを作り手が理解していることを示すかのように、
マーペット「タイヤが空を飛ぶな!」
ドゥカー・イク「旧世紀以来のバイク乗りの伝統の復活を願う私が、これしきのことで!」
レンダ「地球をバイク乗りの楽園にしたいというあなたの夢を、私にも見させてください」
といった、数々の迷セリフが登場し、視聴者は、どこまで真面目に見ればいいのか分からなくなるという状況が生まれたのでしょう。
宇宙世紀のはじまり(「機動戦士ガンダム」の製作動機)から、終焉(「Vガンダム」のバイク戦艦)まで、ホワイト・ベースとヤマトの確執は、思いのほか、様々なところに大きな影響を与えていたというところでしょうか?




Comments
語録のほうですが、
#「未来少年コナン」が映画化される状況をみても、・・・
ここはリアルタイムの視聴者として、激しく頷いてしまいました。ファンだっただけに、本当に腹が立った!ムカついた!
しかし、御大の西崎評は面白いですね。「興行師に近い人」だ、確かに。
#豊富な物量(by安彦さん)
ええ!?あの映像的には今日ではなかなか痛い気がするヤマト第一作で、物量的には恵まれていたのか、と思いました。恐るべし、当時のアニメ業界!
(でも仔細に読むとなるほどなぁ、ですね。思えばガンダム第一作も負けじと映像的には痛かった!)
それにしても富野サンと言う人は、ずいぶん長い間、常に何かと戦い続けている人なんですね~と、改めてしみじみしてしまいました。
Posted by: 囚人022 | November 10, 2005 at 09:26 PM
ジェリドの話といい、ホワイトベースの話といい富野監督は奥が深い方ですね(笑)
最近忙しくて顔出せなかったのですが、やはりここの記事には納得させられる話が多くて面白いです。これからも頑張ってください。
Posted by: 長さん | November 11, 2005 at 12:30 AM
ミノフスキー粒子万歳!ってところですねw
ヤマトも好きだったので面白いです。あのころの熱狂振りはいまからは考えられない、いい時代でしたねえ。
Posted by: アマル・シャタカ | November 11, 2005 at 03:08 PM
ヤマトが物量的に恵まれていた、という話は
「ヤマトほど戦艦が中割りで動きまくるアニメは他に無い」
という部分で考えると納得できる気がします。
ロボットは動きの途中の形の歪みをアクションで中和することができるけど、
形の変わらない戦艦を動画で動かすというのは
とても技術のいる作業だと思います。
今では複雑な形状の戦艦がCGで軽々と動いてしまいますが、
自分はヤマトの手描きの戦艦が歪みながらも動く姿のほうが味があって好きですね。
ってヤマト派みたいな意見ですみません。
Posted by: ののの | November 11, 2005 at 05:53 PM
いろいろご意見ありがとうございます。ヤマトとの比較は興味深いところですよね。今回、調べていくなかで、ヤマトについてもいろいろ面白い点(個人的に)があったので、それはそれでまとめてみたいと思います。松本零士氏的というよりは、西崎氏よりの観点ですが・・。富野作品ページの中で以前から作ろうとしている「海のトリトン」ページとあわせ、西崎氏作品という観点でまとめてみるのも面白いかなーと思います。
Posted by: yasuaki | November 13, 2005 at 08:51 AM