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September 09, 2005

選挙について(ガンダムによる民主主義のモデリング)

もうすぐ選挙です。

個人的には、郵政民営化などより少子化や外交問題こそ、重要課題だと思うのですが・・限られた時間内での、課題の順序付けが間違っていると思います。今後国際社会は大きく変化していくでしょうし、老人大国でかつ、近隣諸国とも友好関係にない日本は、今から対策をしていかないと、明るい未来はないような気がします。

少子化の国はヨーロッパなどにもありますが、あちらは各国統合の方向に向かっているのに対し、日本はそういうわけにもいかないでしょう。もっとも、好むと好まざるとに関わらず、このまま少子化が進めば、吸収合併されてしまうか、移民を大胆に受け入れるしかないでしょう。

もっとも、それを狙っているというならまた別な話ですが、現状はむしろ、単に真面目に将来を考えていないのと、少子化問題より老人票の獲得を重視しているということだと思います。

「新しい時代を作るのは老人ではない!」(byシャア)

といいたいところですが・・

老人重視の対策では、国際社会の変動には対応できないでしょう。若い世代に活力があってこそ、高年齢層もやっていけるのだと思います。

なんといっても生命線である民間企業がかなりぼろぼろになりつつありますから・・年齢別の人員構成もむちゃくちゃな会社も増えていますし・・

選挙というのは、当然ながら、民主主義がベースとなっています。ここで、留意しておくことは、日本は(というか現代世界は)まだ民主主義の経験が短いということです。

さて、富野作品(とくにガンダムの宇宙世紀もの)を見慣れた方ならご存知なように、毎回、民主主義を否定するグループが登場します。

ザビ家による独裁(ガンダム)

ネオ・ジオンによる粛清(逆襲のシャア)

クロスボーン・バンガードのコスモ貴族主義(F91)

ザンスカール帝国におけるマリア崇拝(Vガンダム)

これは一体、何を意味しているのでしょうか?

単なる悪役でないことは確かです。実際、富野監督のインタビューでも、本人も同じ主旨のこと言っていますし・・

民主主義を否定して、どうする気なのでしょうか?

「じゃ、共産主義にもどるのですか?」

「まさか・・コスモ貴族主義だよ。適材適所の人の配置による、人類社会の全体を我慢の構造にかえなければならない。」

「統制社会ですか?」

「そうだ。自然にたいしての統制。人類はそれほど強大になってしまったということだな。その自覚をうながすためには、市民階級出の下衆な根性しかもちあわせていない連中に、政治を任せるわけにはいかんということだ」

「政治は、高貴な精神が要るということ?」

「そうだよ。自由、平等と博愛というが、それは、高貴な精神が背景にあってこそ実践できることであって、市民の欲望から発した平等論では、エゴの言い合いで、堕落の道でしかない。」

「おっしゃることはわかりますが、それを現在の人間が上手にできますか?ニュータイプでもない人間が・・」

「そのための適材適所だといっただろう?市民社会が持ち出した自由主義から出た欲望論は底なしだということは、承知してくれるな?」

「それはね・・でも、お父様のおっしゃりようは理想すぎます。組織そのもののもつ悪癖を知らなすぎます。」

以上、小説版「ガンダムF91 クロスボーン・バンガード」より抜粋

「政治には高貴な精神が要る。」

かっこいいですね。たしかにそんな気もします。

しかし、だからといって、市民のエゴを否定して適材適所の貴族主義をとりいれるといっても、具体的な説得力には欠けるのではないでしょうか?

富野作品は、人間のエゴや組織の悪弊を見事に描くことがひとつの特徴だと思うのですが、なぜ、民主主義が問題かということを論理的に説明しているわけではありません。

というか、現代の学者にもそのへんの理屈がわかっている人はいないと思います。

民主主義の本質についての見解で、私が感心したのは、まさに世界ではじめて民主主義を生み出した古代アテネのプラトンです。

彼は、民主主義の特徴は、平等と自由であること、しかしながら、その自由と平等がきわまったとき、民主主義は崩壊し、独裁制に移行することを説明しています。

そのロジックを簡単にいうと、

①国民には3種類いる

・権力志向の人

・金持ち階級の人

・その他、大多数の一般人(民衆)

②所得の格差が広まると、権力志向の人の中から、「金持ち階級から一般人へ所得の再分配を行う」という告知をして、民衆の支持をえる指導者がでてくる。

③指導者は、敵対者(金持ち階級)から身を護りたいというロジックで、護衛隊の合意をとり、独裁者へとなっていく。

④独裁者は、常に指導者が必要であるように、戦争を起こす。

⑤独裁者は、人々が反対したりできないように、絶えず働かざるを得ないよう、金銭的にしめつけ、貧困状態におこうとする。

⑥独裁者は、自分に敵対するものを、かたっぱしから殺害するなどにより取り除いていく。

⑦最初は民衆の味方だったはずの指導者は、いつのまにか独裁者となり、自由だったはずの人々は奴隷のように従うことになる。

この、2千年以上前に組み立てられたロジックが、20世紀になって各国が民主主義を取り入れた途端に、そのまま実現してしまったのがヒットラーのナチスです。

当時のドイツ人の貧困と、金持ち階級であるユダヤ人への怒りをもとに、完全に民主主義的な政治体制の中で、ナチスは政権を獲得し、ヒットラーは独裁者となったのでした。

なぜ、プラトンはこのようなことが見抜けていたのでしょうか?彼が天才なのはもちろんですが、当時はちょうど、古代アテネにおける民主主義が独裁者(僭主)のもとで崩壊していく直前だったので、リアルに観察できたのだと思います。

さて、このような民主主義の崩壊モデルのカギは、②のところです。貧富の差がどれだけ拡大するか?つまり、経済的なモデルがどうなるかに絡んでいるわけです。

もし、ドイツのように、資本主義的に貧富の差が拡大し、一部の富める者(ユダヤ人)と、大多数の貧しい者というイメージ(実際にそうかは別として)ができあがり、限界を超えたとき、民主主義下では、論理的に権利関係の取り壊しが行われるはずです(多数の論理により)。それがナチスの台頭からユダヤ人への虐殺となりました。

現代はどうでしょうか?

民主主義がうまくいっている国は、おおむね、経済的に安定しているような気がします。

民主主義でも、国が非常に貧乏で、民衆が、金持ち階級もしくは諸外国に対して怒りをもっているケースでは、指導者の登場により一気に独裁制までいく可能性があります。それは、貧乏な民衆のエゴの正当性でしょう。もっとも、独裁者の登場により、かえって苦しむことになるわけですが・・

つまり、民主主義がうまくいくかどうかは、経済状況にかかっているのかもしれません。

ちゃんと調べたわけではないのですが、そもそも、古代アテネで民主主義が機能していたのも、奴隷制に立脚していたからかもしれません。経済的な不満が少ない人の中でこそ、民主主義はうまく機能する可能性があります。

もっとも、民主主義やめたからといって、事態が改善するわけではなく、まさに支配者と奴隷状態になってしまいます。大事なのは、常に経済のバランスを踏まえて、民主主義を見ていくことでしょう。

さて、端的にいって、世界全体が民主主義で平和的にやっていける可能性はあるのでしょうか?

これも、同じことですが、経済モデルにかかっている気がします。

所得差が拡大し、どうしても我慢ができないものとなった場合、貧乏な多数者の声を反映し、権力志向の人間が独裁者として登場するのでしょう。

所得差がそれほど大きくなければ、皆で仲良くやっていけるかもしれません。

ところが、自由と平等の民主主義においては、やはり、プラトンの定義した金持ち階層の人々は必ず発生するでしょう。すると、その金持ち層の自由なエゴにより、経済格差はやはり一方的に広がるものかもしれません。

もしかすると、中東やアフリカの一部の国で独裁者や戦争が絶えないのは、日本や、その他のいわゆる先進国が、経済的にうるおっていることの裏返しなのかもしれません・・資本主義と民主主義の組み合わせでは、我々の幸せは、どこかに不幸を生むということでしょうか?

全員が金持ちにはなれませんし、資本主義においては、儲かる人がいるということは、損をする人もいるということでしょう・・民主主義でうまくいく国がある反面、独裁者も常にどこかにいるのかもしれません・・

さて、話をガンダム(宇宙世紀もの)に戻しますと、以上の民主主義崩壊のモデルを使うとよく理解できます。

ザビ家による独裁(ガンダム)

ネオ・ジオンによる粛清(逆襲のシャア)

クロスボーン・バンガードのコスモ貴族主義(F91)

ザンスカール帝国におけるマリア崇拝(Vガンダム)

生活水準が皆平等に高くなった(?)ガンダム世界では、本当に重要なものは一つしかありません。それは地球です。

皆平等なはずなのに、一部の者だけが「地球」を独占していると、権力志向の人間が民衆(宇宙移民)をたきつけ、独裁制へと移行していきます。

そして、地球圏への戦争を開始するわけです。

名目は、地球の環境を守るという言い方だったりしますが・・

結局、地球という財産が一部の特権階級の者である限り、何度でもどこかのコロニーに独裁者が誕生し、戦争が起きるという構造になっているのです。

シャアが、地球を寒冷化させることで、やめさせようとしたのはこの構造の繰り返しです。(以下、小説版逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレンより引用。)

「ここに至って、わたしは、戦争の歴史を繰り返さないために、地球圏の元凶である地球に居続ける人々を粛清する!!」(シャアの演説より)

「わかるわよ?わたし。シャアって、哲学やってるのよ。」(クェス)

また、次の会話も興味深いものです。

メスタ「かつてどんな独裁者もやったことがない悪行です」

シャア「人類が、宇宙に進出しても、覇権争いを続けたのは、なぜだな?」

メスタ「例外を認めて、地球に居住する人々を、残したからです」

民主主義化において、このような致命的な所得格差や特権は、今まで見たように、プラトンのモデルをたどって独裁と戦争を繰り返すことになるわけです。

シャア「もうひとつ理由がある。社会的動物である人は、もともとテリトリー争いをする習性がある。わたしはね、宇宙に出た人類の革新を信じたいのだが、人類全体をそうするためには、誰かが人類の業を背負わなければならんとわかったのだ」

人類の革新。

ニュータイプではありませんが、遺伝子のコントロールによる人間の変革は、やはりプラトンの考えていたことでした。(2000年以上前です!!いかに、古代アテネが思想においては現代より先まで洞察していたかがわかります!さすがに、民主主義を発明した人々は頭のよさが違います。それに比べると、日本の民主主義導入は欧米から近代国家として認められたいだけという、視野の狭さでした・・あと戦争の敗北による指導か・・)

さて、プラトンのもうひとつすぐれた洞察は、政治体制と指導者の精神構造の問題をリンクさせて考察している点です。

この点では、プラトンの考えた遺伝子コントロールの話や、現実世界における独裁者の精神構造の話、ガンダムにおける様々な政治体制やニュータイプの問題とリンクさせて論じたい気持ちもしますが、今回は長くなったので、また別途とします。

(参考)

欧米の哲学は、全てプラトンへの註釈にすぎないと言われています。私もそう思います。よく学校の課題図書になる「ソクラテスの弁明」はあんまり面白くありませんが(ソクラテスシリーズ読んで彼に愛着わいてから読みましょう)・・そのほかは皆面白いと思います(?)

ちなみに、ソクラテスはプラトンの師匠ですが、プラトンの著作の主人公でもあります。最初の方のシリーズでは、実際のソクラテスに近く描かれているようです(相手にいろいろ話させて、後から揚げ足とって(?)ロジックを粉砕するパターン)。後半の本では、むしろプラトンの思想を語る役回りとなり、自説をしゃべりまくります。「国家」もそうです。

以前アテネにいったとき、ソクラテスが毒を飲んだ洞穴にいきたかったのですが、わかりませんでした(山はあったけど・・)。また、プラトンが開いた学園の跡地も場所はわかったのですが、何もなさそうなのでいきませんでした。詳しいことを知っている方がいたら、教えてください。

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Comments

矛盾点を一つ指摘しましょう。

最初は民衆の味方だったはずの指導者は、いつのまにか独裁者となり、自由だったはずの人々は奴隷のように従うことになる。

そもそも、古代アテネで民主主義が機能していたのも、奴隷制に立脚していたからかもしれません。

Posted by: | July 22, 2006 at 06:33 AM

Yasuakiさんの議論が支離滅裂な理由は、端的にいえば、
1)民主主義の特徴を「自由と平等」にある、ととらえているが、自由と平等は互いに対立する。
2)独裁者は人々を貧困にする、とは限らない。

Posted by: | July 22, 2006 at 06:39 AM

民主主義でも、国が非常に貧乏で、民衆が、金持ち階級もしくは諸外国に対して怒りをもっているケースでは、指導者の登場により一気に独裁制までいく可能性があります。

これ↑おかしい。yasuakiさんによると、プラトンは、独裁者が生まれる契機として国内の経済格差(一般的なことばつかえば「不平等」)をいっている。しかし、自国と外国の経済格差についてはなにもいっていない。なのに、引用した↑では唐突にでてくる。おかしい。

Posted by: | July 22, 2006 at 06:47 AM

中東やアフリカの一部の国で独裁者や戦争が絶えない

と書かれています。これもおかしい。yasuakiさんがプラトンを引用しつつ話題にされてきたことは「民主主義から独裁者は生まれる」ということです。このとき、「民主主義」と「独裁者」は同じ国での出来事です。しかし、引用した↑では、「先進国の民主主義から発展途上国の独裁者は生まれる」というふうにふたつの国の出来事に、いつのまにかすり替わっています。

Posted by: | July 22, 2006 at 07:01 AM

アンタのように欧米を持ち上げて日本を卑下する連中を出刃の守っていうんですよ。
過去の日本人が脈々と築き上げたことをそんなくっだらないげんせつで馬鹿にするなんて良く出来ますねw
そんなに欧米マンセーならどうぞ日本からの移動をオススメしますぜw
日本には移動の自由がありますからね。
こちらもアンタみたいなくっだらい奴が一匹(一族毎消えたらもっとかな)消えたらせいせいします。

Posted by: 035814 | September 20, 2016 at 08:15 AM

コメント欄で山のような矛盾点の突っ込みを受けていますねw

視野が狭いと祖国を卑下する下品な奴の、視野の狭さこそ問題なり。

まぁ視野が狭いから他所のことをグチャグチャ言って自分の愚かさには一生気付かないかな?
アンタをそんな風に産んだ両親をせいぜい恨みなさい。

Posted by: 035814 | September 20, 2016 at 08:20 AM

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