宇宙戦艦ヤマト復活について
私はあんまり最新ネタに敏感ではないので(通常アニメ誌も読んでいない)、宇宙戦艦ヤマトが復活するという話はしりませんでした。詳細はこちら
もっとも、20年ほど前に完結編が放映した直後から、復活させる話はずっとあったといえばありましたが。
さて、私は、ヤマトブームの最後に引っかかった世代だったと思います。
本当に心の底からヤマトにはまった世代はもう少し上になるのでしょう。
ですから、あまりヤマトについて、批判的に語るのは気が引けるものもあるのですが、それでも特に言いたいことを数点言わせてもらいます。
一応、その前に言い訳しておきますと、ヤマトが音楽面やSF面で成し遂げた驚異的な貢献、物語の面白さなどは全て認めています。
しかし、当時、ヤマトブームの末期にのっかった小学生だった頃と違い、それなりに視野も広がってくると、やはりヤマトに対しては複雑な気持ちが残るということです。
1.宇宙戦艦ヤマトとエンタープライズの違いについて
宇宙戦艦ヤマトは、旧日本軍の戦艦大和を復活させます。
そして、主要人物はみな日本人。
それに対して、敵は、デスラー総統をはじめとして、常に欧米人をイメージさせます。
(宇宙人でも女性キャラは白人系美人で登場)
音楽も軍国調。
これらの設定は、全て非常に意識的に行われたと思います。
たしか、西崎プロデューサーのお父さんが海軍の士官だったためだと記憶していますが・・
ようするに、太平洋戦争で負けたことに対する強い思いが、戦艦大和の復活から、白人系帝国との戦い(女性のぞく)から、特攻から、全てに出ています。
そのへんの話については、まあ、私が批判するまでもないと思いますので置いておきます。
製作段階から、松本氏とのあいだも含めて、かなりもめていたようですから。
ただ、私がずっと後にスタートレックシリーズを見たときほど、宇宙戦艦ヤマトに落胆したことはなかったということはいいたいと思います。
スタートレックシリーズは、やはり大平洋戦争時のアメリカの空母エンタープライズ号のイメージをもとに、宇宙船エンタープライズ号が宇宙にのりだす物語です。
アイデアだけは、宇宙戦艦ヤマトが宇宙船エンタープライズのマネをしたようなものですが、コンセプトがあまりに違います。
エンタープライズ号は、日系人(というかアジア系)、アメリカ系、ロシア系(当時は冷戦でアメリカの敵国人だったことに注意!!)、黒人系(・・出身地域は忘れた)というように、世界中のメンバーを集めて乗組員が構成されています。
艦長こそ、白人男性でしたが、その後のシリーズでは、黒人、白人女性といったように、意図的に変更しています。アジア系(というか黄色人種)が艦長で主役のシリーズこそありませんが、主役艦でなければ、存在しますし、アジア系はつねに重要な役割でメンバーとして参加しています。
製作のジーン・ロデンベリー氏は、日本にきて神式で結婚式したりしています。
つまり、何が言いたいのかと言うと、
1940年代 太平洋戦争
1960年代 スタートレック(エンタープライズ号乗組員は、敵国ロシアや旧敵国の日系、黒人を含む世界の人種から集められ、地球人レベルでは団結し、宇宙の未知を探索に行く)
1970年代 宇宙戦艦ヤマト(ヤマトの乗組員は、日本人であり、敵は白人系。美人(これについては常に味方)もおおむね金髪白人系)
この、エンタープライズとヤマトの違いは大変大きなものがあります。
スタートレックでは、宇宙人との交流が、異文化交流の問題や人種問題、性の問題などに迫る題材になったのに対し、後発のヤマトでは、敵を滅ぼすか、滅ぼされるかの話でしかありませんでした。
2.エンターテイメントとしてのヤマトの本質とは?
宇宙戦艦ヤマトのオープニングでは、以下の言葉が流れます。
「かならーずここへー、かええーってくるとー」
この一言の重みが、どれほど意味を持っていたのかに気づいたのは最近です。
最初のヤマトでは、地球を浄化するために、必ずヤマトは生きて帰ってくる必要があったのです。
そのために、毎回、絶対絶命の立場に追い込まれながらも、なんとか機知により脱出していました。
敵は、今度こそヤマトは終わりだ!と万全の体制をひくのですが、毎回、見事に切り抜けるのです。
ある意味、(悲劇的なノリや戦争ものである以上に)ヤマトにはパズルゲーム的な面白さがあり、それこそがエンターテイメントとしてのヤマトの本質だったと思います
それに対して、続編以降は、地球に必ず戻る必要がなくなり、目的は、単に敵を倒して地球を守ることに変わりました。
その結果、ラストは特攻というパターンが、戦艦大和に引きずられて頻発しました。
もし、地球に戻らなければならないという命題が生きていれば、たぶん、最初の物語のように、何かしら機略で突破したのではないでしょうか?
逆にいうと、最初のシリーズを見ていると、特攻ですませられるのなら楽なところを、そういうわけにもいかずに皆必死に考えて苦労しているように見えます。
つまり、敵が毎回強くなるのに反して、ミッションとしては、一段低いものになっているのです。(敵をやっつければ生きて戻らなくてもよい)。
ということで、以上2点で何を言いたかったのかと言うと、
今からヤマトを復活させるのであれば、人種・文化の多様性という点は考慮してもらいたいということ(スタートレックではすでに60年代にやっていた)、もうひとつは、ヤマトのミッションを最初のシーズン並みに厳しくし、必ず生きて帰るというミッションを与えて欲しいということです。
そういう条件があってこそ、敵が強大であるのに比例して、ヤマトの任務も厳しさをまし、突破したときの爽快感も増そうというものです。
特攻は、敵に包囲されたパズルの謎解きとしては、ほめられない解決策だと思います。
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Comments
心の底からヤマトにはまった世代です。(笑)
心の隅々まで「続編」というものに傷つけられた世代といってもよいでしょう。どういう考え方で復活をするつもりなのか見えませんが、頼むから永遠に眠らせてやってくれよ、というのが正直な気持ちです。「作り手をあまり信用しない方がいい」という反面教師が効き過ぎて、アニメの作り手とファンの関係を歪んだものにしてしまうきっかけを作ってしまったA級戦犯ではなかったでしょうか。
Posted by: ずもっく | July 19, 2005 at 11:29 AM
僕もリアルタイム派ですが、やっぱり続編を見た感想はトホホでした。80年代中盤にダイコンフィルムというSF大会のオープニング・アニメーションがあったのですが、その中で、巨大なジャガイモに押しつぶされる、、、というかへし折られるヤマトをみて、オーディエンスが拍手喝采していたことが忘れられません。
初代のヤマトではヤマモト?という隊員の艦載機が帰還出来なくなるという話がありました。本来の日本軍的な価値観では消耗品として見殺しにするところを、隊長が率先して一兵卒の帰還を応援するエピソードに感動した覚えがあります。でも、2ndで彼は見事に特攻を掛けて散ってしまいました。その時に「あれだけ頑張って帰ってきたのになんなんだよ」という物凄い違和感を覚えたことを思い出しました。
Posted by: ヤススキイ | July 19, 2005 at 11:09 PM
YASUAKIさんの考察はいつも勉強になります。
子供の頃再放送でかすった世代です。後にレンタルで漏れなくみましたが、確かに感動したのは1作目だけでした。
スタ-トレックとの比較はやっぱり視点の違いでしょうか・・・人種とか。でもそれをなぞったらヤマトらしくないような気も。
Posted by: ガンドロワ | July 20, 2005 at 12:07 AM
やはり、皆さんヤマトには思い入れが深そうですね。
「ヤマトにはまった世代=続編に傷つけられた世代」なのかもしれません。
しかし、ヤススキイさんのお話にある巨大なジャガイモというのは、凄いですね・・
ガンドロワさんが言うように、スタートレックの路線はヤマトとは別物ですね。まねたら、ヤマトがヤマトではなくなってしまうでしょう。
やはりここは、ずもっくさんの言うように、永遠に眠らせてあげるべきなのかもしれません・・
Posted by: yasuaki | July 20, 2005 at 01:40 AM
初めて書き込みさせて頂きます。m(__)m
私、最後の特攻は「さらば〜」に限って容認します。と言いますのは「さらば〜」に於いては作劇上も「終わらせる」必要があるために最後は特攻でなければならないからです。
もちろん「他の続編」は全然認めていませんし、リメイクについても「ハァ?」って言うのが本音です。
ヤマトは「最初のTVシリーズ」「再編集した劇場版」「さらば〜」で終りです!!後はヤマトじゃない(笑)。
と言うのが私の考えです。
Posted by: Scull | July 20, 2005 at 02:17 AM
「さらば~」で終わっていれば、ヤマトの印象もまた随分違うでしょうね・・
後の作品は、製作者の強い思い入れなのか、単なる商魂なのか、よくわかりませんが。
(両方かな?)
リメイクは、それ自体がすでに昔のファンを傷つける行為になってしまうのかもしれません。
Posted by: yasuaki | July 20, 2005 at 08:21 AM